乳がん記録帳 in スイス

33歳でBRCA2異常の乳がん発見。2019年 肝臓・骨・リンパへの遠隔転移。スイスで治療中。2021死

SIRTについて

・リボシクリブ
・SIRT(Selective Internal Radiation Therapy:選択的内部放射線療法

書くテーマは2つがあるのだが、まずはSIRTについて書こう
この記事を書いている10日ほど前に1回目のSIRTを受けてきた
私の肝転移は肝臓全体に散らばっているために
肝臓の右左2回に分けて行うことになっている
左右を一度に行ってしまうと、肝臓の機能がうまくいかなくなり
1ヶ月以上たっても回復しないということが、昔あったそうだ

放射性物質を注入する本番2週間前に
準備のカテーテル術を行い
(詳しくはわからないので、間違えてそうだが)
肝臓へ血液を送る大きな血管以外の血管を止め
使う薬品が肝臓以外の臓器への出ていかないかどうかを
造影剤を使って確認した

その後、放射性物質を使った本番の手術は局所麻酔で行われ
前に受けたイクロ波凝固療法と同じように
息を吸って、吐く、止めるを繰り返し
放射性物質を含んだビーズを入れていった
2時間くらいの手術時間で
途中までは落ち着いて、順調に進んでいたが
薬品が入っていくごとにどんどん重くなっていく
苦しい感じに襲われていき
ついには医者に「リラックスできない」と訴え
何かの落ち着ける薬剤を入れてもらった

手術が終わって医者に聞くと
苦しくなり始めたのは、胆のう(たぶん)への進出を防ぐために
遮断したからかもしれないといっていたが、どうだろう

術後はカテーテルを入れた足を3時間ほど動かさずに過ごし
そのあとは食事も、動きも制限されずに過ごした
発熱や吐いたりすることなく朝を迎え
そしてびっくり、翌日退院することができ
胃薬、ステロイド剤、胆汁を助ける薬をもらいタクシーで帰宅した

帰宅し3日間くらいは肝臓が腫れて大きくなって
すーーんとした重さがあり、深呼吸は苦しく
何もしたくないので、ソファで寝っ転がっていた
だが、痛み止めなどは必要ない
1週間が過ぎたことには、大きくなっていた肝臓も
落ち着いて、深呼吸をしても苦しいという感じはなくなった
そして1週間後にはダンス教室へ復帰
疲れやすいが、問題ない

2回目のSIRTは1ヶ月後に行うことになっている

止まってくれないなぁ

ゼローダ+ネラチニブを始めてちょうど10日目
ネラチニブの量は少なめとはいいつつも
激しい下痢と38度を超える熱、そして嘔吐があったため
夜に病院へ向かった

血液検査の結果、大した問題はなく、抗がん剤を受けていなければ
そのまま帰ってもいいような状態だったのだが
念のため抗生剤を打ち、入院して様子をることになった
せっかく始まった抗がん剤なのに
出鼻で挫かれる……

今回は抗がん剤が原因だけではなかったと思う
大きな精神的なダメージ+抗がん剤で、体が悲鳴をあげたかなとも感じた

この入院の2日前に、肝臓の経過を見るためにMRIをした
放射線科の先生より、すぐに結果を聞くことができたのだが
残念ながら今のところ2-5mmの影が無数に写っていると言われてしまった
マイクロ波凝固療法を行ってから9週間くらいでこんなに
肝転移は早いとは知っていたが、まさか本当にこんなに早いとは思わなかった

次の手だが、医者からはカテーテル術の
SIRT(Selective Internal Radiation Therapy:選択的内部放射線療法)
という方法を勧められた
説明はがんナビの記事が詳しい

手術の方法は肝動脈化学塞栓療法とほとんど一緒で
ビーズに含まれているのが放射性物質である
専門の方から見たら違うかもしれないが、あしからず

通っている病院でも
しばらく肝動脈化学塞栓療法で、局所に抗がん剤を注入する方法をとっていたが
カテーテルを入れる回数が多いので体への負担が大きいのと
SIRTに比べて結果が芳しくなかった
なので近年はほとんどSIRTを勧めているらしいとかなんとか

まずはSIRTで状態を改善させ、それから抗がん剤を続けていくこととなった
まったく、どうしたらよいものか……
そして、下痢したり入院したり、お酒も飲まなかったりで
すっかりと体重が落ちてしまっている
まだ悪液質とまではいかないと思うが、とにかく食べれるだけ食べて
体力をつけていかければならない
肝臓の腫瘍が消えれば、体重も増えるだろうか

冗談抜きで、一昔前なら(無治療ならば)余命1年というところまで来てしまった
こわい、恐い
これからは、一年一年を大切にしていかなきゃなぁ
できるだろうか
いや、やらねば!
ムムム……でも気が滅入るな

治療方針の決定

2種類目のテスト結果がやっと出てきた
1ヶ月以上待たされ、何度も医者に連絡し
今週くるだの、明日くるだのと言われるも、書類は来ず
旦那さん共々、いろいろ限界になってきていた

テストは思っていた通りのゲノム検査で
肝臓の腫瘍からいくつかのレセプターが出てきた
書類は全て英語のため私は理解不能
これは専門家の域なので見つかったからといって
自分でどうのこうのできるものではないなーといのが感想
だが、わかったことがいくつもあったので、受けてよかったと思う

総評すると

・腫瘍遺伝子変異量が強くないので、免疫療法をやったとしても効き目が弱そう
・BRCA2が希望
 (乳がんの病的バリアントの一つのPALB2もあった。BRCAに関係しているかも)
・HER2の家族因子であるERBB2はなんとなくあるのだがHER2が無い
・他にもいくつかのレセプターがあるのだが、現時点では
 それに対する薬はない、または乳がんに対しては未知

このような結果である
効果が期待できる薬も一覧で出てきたのだが
それは全てがERBB2に関連し、そしてHER2陽性の薬ばかりだった

このような結果を持って、医師と看護師と共に
きちんと今後の方針を決めてきた
免疫療法やPDL-1系は効果がなさそうなので
従来のホルモン療法と抗がん剤や放射線の治療をベースに
いくつか新しい薬を試して使っていき
そこで自分に合うものがあれば続けていく
HER2が陰性でもERBB2が少しでもあるので、HER2関係の薬も試してみたい
それでも体に合うものが見つからなければ、強い抗がん剤を使っていく
ということになった

すぐに強い抗がん剤を行うと思っていたから
少し肩透かしをくらったような感じになったが
新薬と保険の関係などもあり
旦那さん共々納得し、この方針で続けていくことに決める

まずは経口抗がん剤ゼローダに
ERBB2にも有効とされるネラチニブを合わせて使うことになった

検査結果その①

以前2つの検査を行っているために
まだ抗がん剤が始まらないと書いたが
そのうちの1つの結果を聞くことができた
HER2とPD-L1の検査だ
HER2はIHC法で2+と出たのでFISH法にて調べた
結果は

HER2、PD-L1ともにネガティブ。検出されなかった

HER2は以前からネガティブ判定だったのでまあいいが
PD-L1が無かったのには少しがっかり
現在色々な会社が力をいれて開発している免疫療法は
いまのところ使うことができない

今回の検査で今までなかったレセプターが出現した
Androgenrezeptorenが約10%ポジティブとなっている
これは、アンドロゲン受容体(AR)といい、前立腺がんの要因の一つになる男性ホルモンである
実はこのアンドロゲンを持っている乳がん患者は結構いるようで
近年、特にトリプルネガティブに対する、化学療法以外のホルモン療法として注目されているようだ
オンコロジーの先生から、抗アンドロゲンの薬があるから試してみる?と渡され
昨日から1日1回経口で飲み始めることにした
とりあえず数日間試してみて、触ることのできる腫瘍が鎖骨上にあるので
その腫瘍の状態が変わるかどうかを見てみることにする

化学療法の前に

肝臓の転移を摘出した後
ホルモン療法をタモキシフェン→フェソロデックスに変更(リュープリンは継続)
骨転移にはランマークを使用することになった

そのほかに、抗がん剤・免疫療法を行う予定だ
化学療法の前に細胞検査を行なっている
現在は検査の結果待ちで、まだ始まらない

検査は以下の2種類
1, HRE2・PD-L1
2, 遺伝子パネル検査

1のHER2は病理検査の結果に記載されていなかった為追加で調べる
PD-L1はいままで調べたことがない

2の遺伝子パネル検査は全く知らなかったが
オンコロジーの先生が『やりたいから準備してある』といい
やるなら同意書にサインが欲しいと言われた
費用は(日本円で)70万くらいかかるが、保険で払えるようにするとのこと
医者はロシュでやると言っていたので、おそらく「FoundationOne CDx」 というものだろう

詳しくはわからないが、医者が使いたいと考えている薬が自分に対し、本当に有効なのか
何百という遺伝子を調べた上で、自分に有効な薬があるのかを調べることだと理解している

いや、まさか自分がこんな検査を受けさせてもらえるとは考えもしなかった
初発の6年前には世に出ていなかった技術
がんのオーダーメイド治療とはよくいったもので
技術の素晴らしさを目の当たりにしている
そして、この検査で自分に効果のある薬があることを祈っている

肝臓の手術はサクサクと終了

遠隔転移の告知から3週間が経った

肝臓にあった1つの腫瘍は「マイクロ波凝固療法」という方法で凝固させ
とりあえず肝臓の外科的処置は、告知から1週間で終了した

CVポートももう一度埋め込み、抗がん剤治療にそなえる

さて、このマイクロ波凝固療法(MCN)について
幸いにも認められた肝転移の個数が1つだったため
切除よりMCNのほうが良いという判断
そして体への負担も少ないとのことだった
話を受けた次の日、マイクロ療法の先生に会い、説明を受けた

術後2週間経った現在は、これはとても良かったと感じている
体には針を刺した時にできた5mmくらいの傷と
凝固させた患部の違和感くらいで済んでいる
副作用というものも感じていない
だが、再発が多いため2,3ヶ月で一度MRIで経過を見ることになりそうだ

MCNのやり方だが
まずCTを取り腫瘍のある部分を確認し、マーキング
私の場合マーキングした部分より12,3cmくらい下の方から特殊な針を刺す
針からマイクロ波が出て凝固させる
患部をもう一度CTで確認し終了
傷口を圧迫するために、砂?の入った袋を傷口の上に置き、数時間ベットで安静
痛みのある場合は、スイッチを押して痛み止めを自分で入れる

こんな感じで行なった
説明を聞くとごくごく簡単なもの

だが、手術当日に医者に急患が入り3時間遅れでスタート
部屋に入りCTの準備をしていると、まだ医者が遅れるとのことで
そこからまた45分待つ
この待っている間に、いろいろと考えてしまい、ナーバスになってしまった
そしていざCTをスタートさせたが、造影剤を手の甲からいれた時に激しい痛みが
それが一度ならず二度目の造影剤も痛くて痛くて、軽くパニックになってしまった
これが良くなかったと思う

針を刺して固める作業が15分ほどと聞いていた
CTを撮り終え、マーキングされ、リラックスさせる薬剤が入ったと思う
3回くらい息を吸って、止めて、吐いてのやりとりがあったと思うが
だんだん何かの痛みが増してきて、コントロールができない
(意識が朦朧としていたため、ポートが痛いのか、現在焼いている痛みなのかわからない)
痛がって、かなり動いてしまった
すぐさま眠らされ、気づくと旦那さんが隣にいた
医者はそれでも、完璧にできたよと言ってくれた

術後の痛みはほとんどなく、麻酔が切れてから
背中にズキズキとした痛みと、息を吸うとみぞおちあたりも痛む
これは手術によるものだとのこと

そんなに痛くないのだが、寝るために痛み止めを数回入れた
翌日は痛み止めも必要ない

後に旦那さんから聞かされた話だと
自分で入れる痛み止めを術中に使わなかったのかと聞かれた
スイッチを持ってた?パニックになって、すっかりその存在を忘れたか?
看護師も渡し忘れた?記憶がない

肝臓の転移は今後出てきたら、この方法で随時焼き固めることになるだろう
次回はもう少し冷静にやろう

さあて、いよいよ

PET CTの結果を聞きに病院へ
一番聞きたくなかった結果が渡された

肝臓と骨に遠隔転移

肝臓に1.3cmが1つ
リンパ節に1cm以下が2つ
骨に1cm以下が8つ
このような結果になってしまった

これで根治を目指すことはできなくなった
治療だが、まだ決定ではないが以下のことをするらしい
1. 肝臓の腫瘍を組織検査しその後、ラジオ波で焼き切る
2.骨転移は抗がん剤で抑える
3.免疫療法を行う

頭の中は真っ白で
死が迫るという実感がない
旦那さんのことをどうしよう
かわいそう
何をしたらいいのかよくわからない